FPSやTPSのようなゲームでは、感度を下げることでエイムが合わせやすいとされています。振り向きなどの動作が遅くなる一方で、最も重要といっていいエイムのために、XY感度やDPIを低くしている人も多いはず。
さらに、スコープを覗いた時の感度であるADS感度を、腰うち感度よりもさらに低く設定するのが一般的ではないでしょうか。中には感覚のずれをなくすために、ADS感度と腰うち感度を全く同じにしている方もいるようですが。
感度が低い場合は、マウスを激しく大きく振るためマウスがキーボードにぶつかりがち。それを防ぐために重宝されるのが60%キーボードなどのコンパクトキーボード。
テンキーやPageUp(PgUp)キーなどのキーが省かれているため、ゲームのためだけでなくミニマルなデスク周りを演出できます。ただ、不足するキーをショートカットキーを使う必要があったり、数字をキーボード上部の横一列で打つ必要があったりと何かと不便。
そのためゲーマーでもフルサイズを好む人もいるかと。特にマウスを大きく動かさないハイセンシの人に多いかと思います。
今回は、フルサイズでありながらラピッドトリガーに対応しているゲーミングキーボードをまとめておきます。2023年12月の現時点で、該当する製品は私の調べる限り4つあります。
フルサイズのラピッドトリガー対応キーボードたち
ゲーム性能の高いフルサイズキーボードであれば、ゲームをやりながらちょっとした作業もストレスなくこなせるがグッドポイント。マウスをぶん回す人でなければ次のラピッドトリガー製品をぜひ。
Huntsman V3 Pro
1つ目はRazerのHuntsman V3 Pro。
Huntsman V3 Proは、第2世代 Razer アナログオプティカルスイッチを搭載。ラピッドトリガー製品には珍しく光学式スイッチ。
性能は現状で最高峰。アクチュエーションポイント・ラピッドトリガーともに最短0.1mmに設定でき、キー1つ1つに調整が可能です。性能で選ぶならHuntsman V3 Proか次に紹介するApex Proの2択。
現在販売されているラピッドトリガー対応のキーボードには、キー1つ1つを個別に調整ができなかったり、0.1mmまで浅く設定できないものが存在します。この点、Huntsman V3 Proはソフトウェアから容易に調整できる上に、ショートカットキーで変更する「クイック調整モード」も便利です。
その他、Nキーロールオーバーやアンチゴースト機能といったゲーム性能には申し分なし。マグネット式のレザーリストレストも付属します。これぞゲーミングキーボードといった感じ。US配列(英語配列)とJIS配列(日本語配列)ともにある点も好印象です。
逆に気になる点は、打鍵感・打鍵音です。多くのレビュアーがタイピングしているのを見ると、やや打鍵音が大きくカチャカチャとしたおもちゃ感がある感じ。あくまで個人の感想ですが。あとは真っ黒な外観は好みが別れるかと。また、性能面と引き換えにお値段はけっこうします。
Apex Pro
2つ目はApex Pro。
Apex Proは、可変アクチュエーションポイント対応キーボードの元祖と言っていい存在です。
この製品が登場した直後、アクチュエーションポイントを最短0.4mmに設定できることでゲーム界に衝撃を与えました。当時は銀軸の1.2mmがゲーマーに重宝されていましたが、これを圧倒する性能。
初期のApex Proは、2019年と今回紹介するキーボードの中で最も前に発売された製品。ただ登場後も継続的にアップデートを重ねることで、Huntsman V3 Proと並ぶ最高性能と言っていいでしょう。アクチュエーションポイント・ラピッドトリガーともに最短0.1mmに設定でき、キー1つ1つに調整が可能。
紹介する4製品のなかで最も長く販売されている安心のゲーミングキーボード。もちろんUS配列(英語配列)とJIS配列(日本語配列)ともに販売されています。
気になる点は、Huntsman V3 Proと同じくこの外観や打鍵感の好みが別れる点ぐらい。今のところ価格は2023年に発売されたHuntsman V3 Proよりは少し安くなっていました。
Corsair K70 MAX
3つ目はCorsair K70 MAX。
Corsair K70 MAXは、ファンクションキーとテンキーの上にあるメディアキーが特徴的なゲーミングキーボード。発売当初はラピッドトリガーに対応していませんでしたが、2023年9月のアップデートにより対応することになりました。
キーボード上部にメディアキーなどがあるため、今回紹介するキーボードの中では最も大きいサイズ感。442×166×39.2 mm。
複数のインジケータが上に表示されるので、ミュートやWindowsロックなどのキーボードの状態が一目で分かるのは、他のラピッドトリガーのキーボードにはない仕様。こういった表示はゲーミングキーボードでは削られていることが大半で逆に珍しい。
性能面では、アクチュエーションポイントは0.4~3.6mmで0.1mmごとに調整可能。どうやらラピッドトリガーはON/OFFのみ。細かい調整ができないようです。性能面では先ほどの2製品が上回るように見えてしまいます。
ただ、アップデートによってラピッドトリガーが実装されたのを考えると、今後もアップデートにより微調整が可能になるといった進化があるかもしれません。
現段階で、Corsair K70 MAXの最大の特徴に思うのが、ポーリングレート8,000Hzに対応する点です。多くのゲーミングキーボードに見られる1,000Hzより、理論上8倍の入力遅延が少ないと言えます。その分PC側に負荷がかかるのは注意です。
Keydous NJ98-CP
4つ目はKeydous NJ98-CP。
本来フルサイズの日本語配列キーボードは109キーですが、Keydous NJ98-CPは98キー。厳密にはフルサイズと呼べないのかもしれません。テンキーがありながらもメーカー独自の配列を採用することでで小型化しています。
ラピッドトリガーに対応し、テンキーもありながら出来るだけ小さい方がいいという方向け。アクチュエーションポイントは、0.2mm~3.8mmで0.1mm単位で調節可能。
このキーボードの特徴は、何といっても外観。カラー展開が豊富で5つから選択できます。真っ黒いキーボードではない一味違う外観は、デスク周りを彩ってくれるはず。キーボード右上の小型モニターも特徴的で、自分で画像を設定することもできます。
さらに、内部のスイッチを支える内部のプレートが、アルミと真鍮から選択できるのも珍しい点。打鍵感・打鍵音は他のゲーミングキーボードとは異なるでしょう。
アルミプレートを選択した場合、139.99ドル(約2万円ぐらい)と、ラピッドトリガー対応のフルサイズキーボードとしては現状で最安価格。
加えて、Keydous NJ98-CPは、ラピッドトリガー対応でありながら2.4Ghzワイヤレス接続。かなり希少な存在。
難点を挙げると、Keydousの公式サイトやMechkeysから購入しなければならない点。Amazonなどからサクッと買うことができない現状です。
もしかしたら、あまり需要の多くないフルサイズのゲーミングキーボード。ラピッドトリガーをお求めのハイセンシさんがいましたらぜひ。