たいした稼ぎもないアラフォーではあるが2024年時点で最高性能と言えるゲーミングモニターを買ってしまった。ろくな稼ぎもないのにいい歳してゲームにお金をかける自分に負い目を感じるのは、昭和生まれの古い人間だからだろうか。今時の人は好きなことに大金をはたくことを躊躇しないと聞く。吟味を重ねて悩みに悩んだ末に17万円越えモニターを注文した後も、罪悪感で何度もキャンセルしようともだえた自分の古臭さが嫌だ。ただ、さすがに身の丈に合わない買い物だ。
ゲーミングモニターはずっと前からの買い替えを考えていた。人生初のゲーミングモニターとして35,820円で購入した最大リフレッシュレート240Hzのものを使っていた。TNパネルだけあって角度によってはかなり見えにくい。今後買うのであれば、IPSパネルにしようか、ゲーム性能特化の500Hz越えのTNパネルにしようか、あれこれ考えてだいぶ時間が経過していた。
2024年になると当たり前のように各メーカーからOLED(有機ELディスプレイ)のゲーミングモニターが登場した。OLEDは色の再現性が高いだけでなく応答速度が桁違いに速い。これまで最速0.3msとか0.1msとかのうたい文句が見られたが、OLEDのゲーミングモニターにおいては0.03msという数値が目立った。
OLEDは、画質の高さも応答速度も従来のモニターを上回っている一方、FPSなどのゲームで広く使われるようなディスプレイサイズ(24.5インチや27インチ)が少ないことと、リフレッシュレートがそこまで高くないモニターが多かった。この問題点が解消されたゲーミングモニターが発売され始め、その中で目を付けて購入に至ったのがSONY INZONE M10S。発売が予告されてから予約購入し開封、Fortniteで使ってみた。
自宅に到着。開封して設置してみる。
ちなみにAmazonで購入価格は174,900円だった。これを書いている2024年11月下旬では159,000円となっている。一見、価格が変動しているように見えて狼狽したが、購入当時はAmazonポイントが10%が付与され、今は1%だけ付与される違いがある。ポイント分を引くといずれも157,410円となって実質同じ価格だ。ポイント制度はこの世から消えてくれ、分かりにくい。なるべく安く買おうとする消費者の時間を奪う。
モニターはスタンド込みで約6.2kg。梱包された段ボールは大きさのわりに軽く感じる。OLEDのメリットの1つとして、液晶ディスプレイより薄く軽い点が挙げられる。モニターの小型化・薄型化・軽量化を狙ってOLEDを買う価値はある。全く想定していなかった利点を感じられた。軽いは正義。
開ける時に裏表逆に開封して少し面倒なことに。本来であればモニターの背面が上になるべきで、背面にそのままモニタースタンドを取り付けられたはず。段ボールを下にしてフローリングを傷つけずに組み立てられるように梱包されていた。
いったん全て取り出すことに。
モニターの取り出しと組み立て以上に、複雑な形状の段ボールを廃棄する方が労力がかかった。モニターの設置の労力が比にならないほど段ボール解体作業がしんどい。
モニター本体、モニタースタンド、電源ケーブル、DisplayPortのケーブル、取扱説明書などが同梱されていた。
内容物はいたってシンプルだった。余計なものが付属しないのは好意的だが、何かとゲーミングブランドはステッカーをつけたがる。
モニタースタンドの取り付けは誰でも出来るほど簡単。スタンドは控えめでスペースをとらずミニマルな印象。上下に動かしやすく回転もスムーズだ。ただしモニターを縦方向には回転できない。
やはり軽く薄いので取り回しやすい。モニターの厚みは4mmほどしかなく変形しないか心配なぐらい薄い。
背面もシンプルで端に電源ボタンと設定変更用のスティックがあるだけ。ボタンもスティックも扱いやすく文句のつけようがない。
モニター背面の下側に各種差込口がある。左からヘッドホン出力、USB Type-Aが2つ、USB Type-B、HDMI(Ver. 2.1)が2つ、DisplayPort(Ver2.1 UHBR10)、電源、USB Type-A(アップデート用)。
モニタースタンド下側にケーブルを通せるが、この利便性は使う人のデスク環境による。
主な仕様
主な仕様は下記の通り。
画面サイズ | 27インチ |
パネルタイプ | 有機ELパネル |
解像度 | 2560×1440(QHD) |
リフレッシュレート | 最大480Hz |
可変リフレッシュレート技術 | Adaptive-Sync NVIDIA G-Sync Compatible Variable Refresh Rate |
応答速度 | 0.03ms |
VESA DisplayHDR | DisplayHDR True Black 400 |
ピーク輝度 | 1,300cd/m²(HDR / 3%) |
スタティックコントラスト比 | 1,500,000: 1 |
表示色域 | 98.5%(DCI-P3カバー率) |
最大表示色 | 10.7億色 |
視野角(水平/垂直) | 178° |
表面処理 | アンチグレア |
ブルーライト軽減 | 対応(TUV Rheinland認証) |
フリッカー軽減 | 対応(TUV Rheinland認証) |
高さ調整幅 | 120mm |
チルト角 | -5°~+25° |
スイーベル角 | ±180° |
VESAマウント | 100×100mm |
消費電力 | 120W |
寸法 | 約60.4×50.4×19.7cm |
質量 | 約6.2kg(スタンドなし約4.2kg) |
電源をつけて使用した雑感
電源をつけると、今まで使っていたTNパネルと比較するとさすがに綺麗と一目でわかる。ただ色味は見慣れていないのでどこか違和感を感じた。
特に感動したのは視野角の広さ。角度を変えてもはっきり見える。
横から見ようが下から見ようがTNパネルと比較にならないほどはっきり見える。モニターに正面から向き合いゲームをやる以外に、席を離れて動画を見る身にとって最高すぎる。
同じ27インチのDellの4K IPSパネルのモニターと比べても、角度をつけた時の見え方はOLEDの方が見やすい。手前がIPSパネルで奥がOLED。光の当たり方が異なりIPSパネルが特に見にくくなっているものの、いずれにせよOLEDははっきり見える。
左がIPSパネル、右がOLED。
初見の雑感として、OLEDは軽く薄いことで取り扱いやすく、角度をつけた時の見やすさが段違いでが良い。ただ色味などは今までと異なるので違和感を感じた。
モニター背面のスティックで明るさなどを簡単に調整できるため、使い始めは調整しながら使用することになる。色味の違和感は調整しながら使用していくにつれて全くなくなった。
また、INZONE Hub ソフトウェアをダウンロードすることで、スティック操作でなくてもソフトウェア上でより簡単に設定の変更が出来る。モニターの物理ボタンよりはるかに便利だ。
このソフトウェアでアップデートも確認できるがこれがちょっと面倒だった。アップデートにはファイルをダウンロードして、USBメモリに移し、そのUSBをモニター背面のアップデート専用のUSB Type-Aへ接続する必要がある。そこまで大変ではないが、出来ればUSBを使わずにソフトウェア上だけで完結してもらいたい。
さっそく、OLEDのリフレッシュレート480Hzを体感すべくFortniteを起動することに。
ところが、事前にPCの設定からリフレッシュレートを480Hz(479.99)に変更したにもかかわらず、Fortniteの画面では240Hzより上がらなかった。Fortnite内の設定も変更していたが改善せず、しばらくこれで悩むことに。
原因は、NVIDIAコントロールパネルだった。前のモニターが最大240Hzだったことから、今までNVIDIAコントロールパネルの3D設定の管理で、最大フレームレートを240FPSにしていた。これを480FPSに変えたところ解決した。
Fortnite内では360Hzが固定リフレッシュレートの最大値。出来ることなら固定したいが、480Hz固定が設定できないので今のところ「無制限」に設定してやっている。
ゲームでは480Hzに常に張り付いていないが最大値近辺で変動している。多くの人が指摘する通り、リフレッシュレートが240Hzから480Hzに変わったことによる恩恵は感じにくい。それ以上にTNパネルからOLEDに変えたことによる見やすさの向上は買って良かったと思う。太陽光が部屋に入り込みモニターが白く見えにくくなることがなくなった。
モニターのサイズに関しては、今まで24.5インチでやっていて27インチに変わったが全く問題ない。私が鈍感なせいもあるがINZONE M10Sの24.5インチモードが必要ないくらい快適にプレイ出来ている。恐らくモニターを顔から遠ざけたり近づけたりすれば、モニターサイズはFPS/TPSにおいてそれほど影響はない。あまりに快適なので24.5インチモードは試せておらず、このモードでの使い勝手はのちに検証しようと思う。
ちょっと心配な点として、しばらく使っていると今まで経験ないほどモニター背面が熱くなった。モニターが熱くなる経験が無いので心配性の身としては悪影響がないか気が気でない。
またモニターアームにも取り付けてモニターを持って上下左右前後に動かしてみたが、モニターが薄すぎて割れたり変形しないか心配になった。モニターアームは動きやすいようにアーム関節部分を少し緩めて動きやすくしておいた方がいい。
あとはOLED特有の焼き付き問題が心配だ。PCを自動でスリープする設定にしようか迷っているが、しばらくはPCの消し忘れに注意してこのまま使ってみる。放置していると画面がほんのわずか暗くなり、マウスを動かすと元の明るさに戻る現象は目で見て確認できる。焼き付き対策は万全なことを祈る。
背伸びしまくって実質16万円ほどで購入したINZONE M10Sは今のところ満足している。さすがに私のような庶民には高過ぎる代物ではあるが、この先故障などのトラブルなく長年使用できて、他に秀でたモニターが世に登場しない期間が長いほど買って良かったと思えるはず。解像度QHDで480HzのOLEDと現状モニターでは最高峰。これを上回るモニターが数万円で買える日がすぐに来てしまったら笑うしかない。