寝転んで仰向けの状態で、タイピングなどの作業をやりたい。最近、無性にこの欲求が湧き上がっています。
仕事以外では狭いワンルームアパートの一室で、動画を見たり作業したりゲームしたり、ずーっとPCの前で座りっぱなしで過ごす日々。首が前に出た姿勢が身体に染み付き、直そうと思っても自分の意志では矯正できないまでになっています。
どうにかしようと電動昇降式デスクFlexispotを思いっきって購入したものの、スタンディングでの作業はけっこう疲れ長続きしない。そこで寝転んで仰向けの状態で作業や動画鑑賞をすれば、腰や首に負担がかからないことに気づき、VRゴーグルとかARグラスがあれば快適になるのではと思ったわけです。
VRゴーグルとかARグラスを欲するきっかけはApple Vision Proの発売。ゴーグルをつけるだけで、視界に大画面のディスプレイが複数現れ、アイトラッキングやジェスチャー機能で操作できるので、場所を問わずエンタメ体験やデスクワークが可能に。
全然興味もなかったVRゴーグルなど、デスクワークで使えそうなものを調べてみることにしました。
個人的な条件
個人的にVRゴーグルやARグラスといったデバイスに求める条件は下記です。
- 仰向けの状態でデスクワークや動画鑑賞ができる。
- WindowsPCと接続してタイピングを伴う作業ができる。
- メガネをつけたままでも利用できる。
- 価格は10万円を超えない。
四六時中PCと向き合っていることによる猫背やストレートネックを改善するため、仰向けで過ごすというのが一番の目的。WindowsPCを操作でき、キーボードやマウスとも接続が可能なデバイスを探そうと思います。
また、普段はメガネをつけているので、メガネをつけていても着用可能なゴーグルなどに限られます。価格は10万円超えるものはちょっと手を出しずらいかと。これらの条件のもと自分に合うデバイスを探します。
VRゴーグル?ARグラス?MRとかXRとか、よく分からん。
仰向けの状態で目の前に鮮明な映像を映し出す方法としては、次の4つが思い浮かびました。
- PCモニターを真下に向ける
- プロジェクターで天井に映し出す
- VRゴーグル
- ARグラス
PCモニターを下に向けて仰向けで作業はやってみましたが、悪くない。ディスプレイを拡大すれば作業できます。ただ、モニターアームの問題で真下には向けられず、デスクに近い位置に仰向けになる必要がありちょっと窮屈でした。出来れば広々としたスペースに寝転び作業したい。
プロジェクターで天井に映し出す方法も考えましたが、狭いワンルームアパートの天井には火災報知器と電気があり、大きく映し出せなそうです。仰向けの状態になると天井との距離も遠く、作業で細かい文字が読み取れるかも疑問です。
そうなるとやはり、顔にゴーグルやらメガネやらを装着するしかないかと。そもそもVRゴーグルとかARグラスとかの違いもよく分かっていない私は、少し調べてみることに。
- VR(Virtual Reality 仮想現実)…ディスプレイの中、現実とは異なるもう一つの仮想空間を作り出す
- AR(Augmented Reality 拡張現実)…目の前に見えるリアルな現実の風景に、さまざまな情報を付け加える
- MR(Mixed Reality 複合現実)…VRとARを組み合わせたもの
- XR(Cross Reality)…上3つの包括的な総称
VRゴーグルとかARグラスとかの購入を考えていましたが、調べてみると自分の想定する使用方法では、MRゴーグル/グラスが良さそう。そんなものあるんでしょうか。具体的な製品を見ていきます。
購入候補を挙げる
仰向けでPC作業を行うには、Immersedといったアプリを使用することになりそうです。
「Immersed」は、VR/MR空間上にワークスペースを用意できる無料のアプリ。複数のバーチャルスクリーンを表示でき、PC作業をそのままバーチャル空間でできる模様です。Windows/Mac/Linuxに対応し、後述するMeta Quest 3、Meta Quest Pro、PICO 4などで使えるとのことです。
また、以下の製品は2024年2月時点で調べたもので、価格変動やアップデートによる仕様の変化などもあるかと思います。
Meta Quest 3
2023年10月に発売された、MR(複合現実)ヘッドセット。価格はストレージが128GBモデルで74,800円、512GBモデルで96,800円。主な仕様は下記です。
解像度 | 2,064×2,208ピクセル |
画素密度 | 1,218PPI |
リフレッシュレート | 最大120Hz |
視野角 | 110° |
SoC | Snapdragon XR2 Gen 2 |
メモリ | 8GB |
トラッキング | 6DoF |
重さ | 515g |
VRゴーグルなど購入したことない私が、真っ先に思い浮かんだのがMeta Quest。Apple Vision Proが発売されると、Metaのマーク・ザッカーバーグCEOが実際に使ってみた感想をInstagramに投稿。Quest 3の方が優秀であることを強調していました。ポジショントークの面もあるかもしれませんが、50万円ほどするVision Proの7分の1の価格ということもあり、評価が高まっている印象です。
メガネをつけたままでも利用でき、周囲の実際の環境をリアルタイムに見ることができる機能であるパススルーにも対応。ただ、歪みが出るといった口コミを見かけるのが気になります。また、アイトラッキングにも対応していないものの、次に紹介するQuest Proは対応しています。
Meta Quest Pro
2022年10月に発売されたMR(複合現実)ヘッドセット。価格はストレージが256GBで159,500円。主な仕様は下記です。
解像度 | 1,800×1,920ピクセル |
画素密度 | 1,058PPI |
リフレッシュレート | 最大90Hz |
視野角 | 106° |
SoC | Snapdragon XR2+ |
メモリ | 12GB |
トラッキング | 6DoF |
重さ | 722g |
VR初心者が見る限り、Quest 3と大きな違いはフェイス・アイトラッキングがある点なのかなと。自分の顔の動きや表情をリアルタイムでトラッキングすることで、VR空間のアバターも連動するとのことですが、正直あまり惹かれない。
使ってみるとその便利さは実感できるのでしょうが、私の場合あくまで仰向けで作業したいだけなのでピンときません。価格も10万円越えということで個人的にはQuest 3の方がいいかと。
Immersed Visor
Visorは、Immersedが開発するPC接続型のVR/ARヘッドセット。価格はVisor 2.5Kが499.99ドル(約74,000円)、Visor 4Kが749.99ドル(約111,000円)。片目あたり2.5Kと4Kの2種類あるようです。主な仕様は下記です。
解像度 | 2,700万ピクセル |
画素密度 | ? |
リフレッシュレート | 最大90Hz |
視野角 | 約100° |
SoC | Snapdragon XR2+ Gen2 |
メモリ | – |
トラッキング | 6DoF |
重さ | 200g未満 |
先ほどのImmersed社のアプリImmersedを使用することを想定されたデバイス。VRゲームやエンタメを主目的としない、まさにデスクワーク向けのようです。解像度の詳細は分かりませんが、Apple Vision Proをしのぐほどの高精細が期待でき、最大5つディスプレイを表示させ作業することが出来る模様。Meta Questのようなコントローラーはなく、アイトラッキングとハンドトラッキングで操作します。
ただ調べてみると、メガネとの併用が出来ず、マグネット式のレンズを別途注文する必要があるとのこと。一般的なVRゴーグルと比べ、かなり軽量ですがメガネ民にはさらなる出費がかさみそうです。
PICO 4
2022年10月に発売されたPCとも接続できるVRゴーグル。価格はストレージが128GBモデルで49,000円、256GBモデルで59,400円。主な仕様は下記です。
解像度 | 2,160×2,160ピクセル |
画素密度 | 1,200PPI |
リフレッシュレート | 最大90Hz |
視野角 | 105° |
SoC | Snapdragon XR2 |
メモリ | 8GB |
トラッキング | 6DoF |
重さ | 588.5g |
TikTokなどを運営する中国のバイトダンス傘下Pico Technologyにより販売され、価格がかなり魅力的。スペックを見る限り他の製品と引けを取らず、メガネをつけたままでも大丈夫のようです。
これでいいじゃん、と思いましたが、Quest 3とは違い後頭部にバッテリーが搭載されているため、仰向け作業には向かないようです。ちなみにコントローラーはかなり巨大なリングがついていて取り回しがしにくそう。
XREAL Air 2 Pro
2023年11月に発売されたPCとも接続できるARグラス。価格は61,980円。主な仕様は下記です。
解像度 | 1,920×1,080ピクセル |
リフレッシュレート | 最大120Hz |
視野角 | 46° |
明るさ | 500Nits |
PPD | 49 |
重さ | 75g |
中国メーカーであるこちらは、ゴーグルではなくARグラスとあって75gと先述のゴーグルと比べて超軽量。スマホやPCの画面を最大330インチまで表示させることができ、XREAL Beamを併用することで空間ディスプレイの使用が出来、3DoFモード、ブレ補正モード、サイドスクリーンモードで使用可能。
ARグラスの手軽さに一瞬惹かれましたが、使用者のレビューを見ると期待しすぎない方が良さそう。VRゴーグルと違い視野角が圧倒的に狭い。複数のディスプレイを表示できるものの、視野角が狭いので見切れるとの声も。
さらに、メガネ着用者は、度付きインサートレンズが必要になるとのことで、メガネをつけたままでは利用できない模様。私にとっては他の選択肢を探すことになりそうです。
こうして調べていった中では、Meta Quest 3が個人的に最有力、2番手にPICO 4といったところ。すぐにでも買いたいところですが、ガジェットをつい買ってしまう庶民にとって出費は抑えたいではあるので、仰向けで作業を夢見てもう少し吟味します。