2020年にWootingの登場でラピッドトリガーは、今やゲーミングキーボードでは当たり前の機能になりつつあります。入力後わずかにキーを上に戻しただけで、入力がリセットされるため、キーの連打やストッピングに欠かせません。
これを書いている2023年10月時点で、ラピッドトリガーを搭載したゲーミングキーボードは、どちらかというと機能面に全振りしたものが多い印象です。ラピッドトリガーの他に、浅いアクチュエーションポイントに設定できたり、高ポーリングレートだったり。
そんな中、遊び心をくすぐるラピッドトリガー搭載のゲーミングキーボードが、Higroundから販売されているようです。
Higroundとは
恥ずかしながらこのゲーミングブランドは、聞いたことがなかったため簡単に調べてみることに。
Higround(ハイグラウンド)は、2020年にアメリカのロサンゼルスで設立された、比較的新しいゲーミングデバイスを手掛けるブランドのようです。
公式サイトを見ると、マウスやマウスパッド、キーボード、キーキャップ、スイッチなどの販売はもちろん、Tシャツやキャップなどのアパレル商品も取り扱っています。印象的なのはアニメとのコラボ商品。

特定の熱狂的なユーザーに深く刺さりそうな商品が多く並んでいました。特に限定商品は人気らしく、そのほとんどが売り切れとなっていました。商品を手に取ったわけではないですが、単にアニメを模写したチープな感じはなく、芸術作品のような印象で1つ1つ精巧に造り上げられている感じがします。

好きな人にはたまらんのでしょうが、私はこの領域の人間ではないので、とりあえずお目当てのキーボードをサイトから探すことにしました。
Higroundのキーボード
公式サイトを確認する限り、以下4種類にキーボードを分類できるようです。
- Summit 65 Keyboard
- Basecamp 65 Keyboard
- Crystal 65 Keyboard
- Performance Base 65 Keyboard
どのキーボードもコンパクトな65%サイズで、US配列に限られているようです。
「Summit」は、その意味の通りこのブランドの「最高峰」のキーボードという位置づけのようで、価格も「Basecamp」より高めです。最も高価なもので310ドル、日本円で46,000円前後もする代物もあります。高級感漂うCNCアルミケースに、ねじ込み式スタビライザーがキーのがガタつきを防ぐ構造。以下の動画を見る限り、打鍵音はかなり好みです。
この他に「Basecamp」はABS樹脂フレームの基本モデル、「Crystal」は以下の画像のような半透明の白いABSキーキャップのモデルです。

そして機能面に重点を置いたのが「Performance」。このPerformanceキーボードがFPS・TPSで大いに使える機能を備えているようです。
Higround Performance Base 65
の仕様
不明な点もありますが、Higround Performance Base 65の主な仕様は下記です。
スイッチ | 磁気スイッチ |
押下圧 | 30~50g |
アクチュエーション | 0.1~4.0mm |
ラピッドトリガー | 有(値不明) |
キーストローク | 4.0mm |
サイズ | 65% |
ポーリングレート | 不明 |
接続 | Type-C |
キーキャップ | PBT樹脂 |
耐久性 | 1億回以上 |
なお価格は公式サイトで165ドルの表記になっており、ドル円は常に変化しますが、現時点では円に換算すると約26,000円ほどといったところ。

押下圧は、押し始めが30gで底で50gのリニアといったところ。アクチュエーションポイントは最短0.1mmに設定できゲーミングキーボードの中で最高水準の設定が可能。
少し気になるのがラピッドトリガーの設定です。ラピッドトリガーは搭載しているものの、細かい微調整などは出来ないようです。さらに、常にラピッドトリガーが有効な状態で、特定のキーを無効にすることができないようです。
ラピッドトリガーの設定に関しては、キー1つ1つに調整が可能なREALFORCE GX1が機能面では大きく上回っていると言わざるを得ません。
さらに私の調べる限りポーリングレートの表記がないため、反応速度の絶対的な補償はないように思えます。

外観は、真っ黒ないかにもゲーミングキーボードといった感じはなく、ブランドのこだわりを感じます。キーキャップの上には印字はなく手前側に施され、ロゴはあるものの真上から見ると無刻印デザインのようです。
デザインは、白ベースの「SNOWTONES」と黒ベースの「BLACKICE
」。過去にはドラゴンボールなどのアニメとコラボした製品もありますが基本はこの2つのデザインです。
FPS・TPSを戦える機能面の充実と、キーボードのデザイン面の両方を求める人には魅力的なゲーミングキーボードかと思います。
Higround Performanceキーボードの購入先
ただ、2023年10月時点では、公式サイトから個人輸入しなければなりません。個人輸入は慣れている方はいいでしょうが、何かと不便でトラブルが起こりがち。
ただ、もう少し待つことで日本国内からもHiground Performanceキーボードが買えるようになるのではと思っています。
というのもHigroundの別の製品は、すでにふもっふのおみせとパソコンSHOPアークから購入ができるからです。
例えば、ふもっふのおみせには、Performanceキーボードと同じデザインのTopograph Series Basecamp 65 keyboard BLACKICEが、パソコンSHOPアークにはCrystal Collection Basecamp 65 keyboardが購入できます。
この2社に今後Performanceキーボードが追加されるのではと勝手に期待しています。
Higround Performanceキーボードの気になる点
「パフォーマンス」うたっているだけあって、アクチュエーションポイントを最短0.1mmは、Wooting 60HEやApex Pro Minなどの最高峰のコンパクトキーボードと並ぶ性能です。ブランドのデザインと機能の両立はかなり魅力的です。
一方、遅延が少し気になります。
デバイスやPCパーツなど紹介しているYouTube「optimum」は、やや手厳しい評価をしています。以下のような独自のキースイッチの反応を調べる機器を用いて、遅延を測定したところ、Performanceキーボードは芳しくない結果でたのこと。

optimumのキースイッチの反応を調べる装置をYouTubeより抜粋しています。
4つのゲーミングキーボードを比較した結果は以下のようです。

Wooting 60HE、Apex Pro TKL、Razer Huntsman Miniの3つの製品とHiground Performanceキーボードを比較し、画像左の最も遅延が少なかったWooting 60HEに対して、Higround Performanceキーボードはその2倍以上の遅延があったとのことです。かなり有用な情報に感じます。
当然カジュアル勢・エンジョイ勢にとって全く気にする必要のない差であり、ガチ勢・競技勢がキーボード選びで参考にする程度でいいでしょう。
今回Higroundの製品を調べてみましたが、結果的にPerformanceキーボードよりも、より質感の高いSummit 65 Keyboardに興味を持ってしまいました。かなり打鍵音が良さげです。しかも限定商品も面白いものが多く、アニメにさほど興味がなかったものの芸術作品のようで物欲をかきたてられます。ただちょっと高い。。