少しの間ゲーミングキーボードから目を離していた結果、見慣れないキーボードが増えた気がします。2年ほど使い続けているWooting 60HEに全く不満はなく、四六時中キーボードを観察しているわけではないので、気づけば最新キーボードにやや疎くなっていました。
数ヶ月前の時点でAmazonなどで手軽に買えるゲーミングキーボードでは、Razer Huntsman V3 ProやApex Pro、REALFORCE GX1、ZENAIMが最高峰の部類でした。もちろん今でもトップギアに間違いありません。アクチュエーションポイントとラピッドトリガーを最短0.1mmにできるため、指先の反応を素早くキーに伝えることが出来ます。
これらのキーボード同様に、最速で指先の動きをキーに反映させるゲーミングキーボードは珍しくなくなってきました。個人的に気になっているのがMelGeekというキーボードブランドです。
MelGeekとは
MelGeekの公式サイトを調べても、いまいちどういったブランドなのかつかめません。キースイッチ、キーキャップ、パームレストだけでなく、PCBやプレートといった自作キーボード用の商品も販売されています。プライバシーポリシーを確認するとコンタクトをとる場合は、中国の深センの住所が記載されてあることから、中国メーカーかと思われます。
ゲーミングに特化しているわけではないようで、個性的なデザインのメカニカルキーボードが印象的です。MelGeek Mojo68というキーボードは透明な筐体が個性的で、レトロな感じもあっていい感じです。以前5つのデザインがクラウドファンディングで販売されたようで、2.4Ghzのワイヤレス接続が可能で、ガスケットマウントと打鍵感も面白そうです。
一見するとデザインに重きを置かれたブランドかと思いましたが、どうやらゲーム性能の高いキーボードも扱っているようです。
MelGeek MADE68とは
MelGeek MADE68がその1つです。
数値上、FPSやTPSなどで使用するキーボードとして申し分ない性能です。主な仕様は下記です。
キーレイアウト | US配列 |
キー数 | 68 |
スイッチ | Kailh Green Hornetスイッチ |
アクチュエーションポイント | 0.1mm~ |
ラピットトリガー | 0.1mm~ |
ホットスワップ | 対応 |
バックライト | 搭載 |
LED | RGB |
接続 | USB |
ポーリングレート | 1,000Hz |
サイズ | 319×117×40mm |
本体重量 | 850g |
2024年9月時点で、MelGeek MADE68は、Amazonでも流通していますがパソコンSHOPアークで2万円を切る価格で販売されています。65%キーボードで一般的なキー配列、右下の矢印キーはタイピングを含む作業用キーボードとしても併用できそうです。
性能面では、アクチュエーションポイントとラピッドトリガーともに最短0.1mmの設定が可能な点が目を引きます。2万円ほどの価格帯で、これほどの性能は他にないためコストパフォーマンスも優秀。
ゲーミングキーボードの中にはHM66のように、この数値を上回る0.01mmに設定できる代物は存在するものの、0.1mm以下の数値の違いは感じにくいでしょう。個人的には0.1mmで十分かと。
ただし、この数値をより突き詰めたい場合、スイッチを交換することでさらにMelGeek MADE68の性能を高めることは可能です。
スイッチ交換により性能アップが可能
取り付けられているKailh Green Hornetスイッチを、Jade KS-20T Switchに交換することで最短0.04mmに設定が可能です。これを書いている時点で、Jade KS-20T Switchは、パソコンSHOPアークで650円(5個入り)で販売されています。
WASDのみ変更するなど部分的に変えてみるのもいいかもしれません。0.04mmの性能となると、現状のゲーミングキーボードでもそう多くはない存在になり、他と差別化できるかもしれません。
仮に68キーすべて交換するとなると、650円(5個)×14=9,100円(70個)必要になるため値段が気になります。また、付け替える労力もあるので、自作キーボード好きにはいいでしょうが、めんどくさいと感じる人は別の選択肢がいいかもしれません。価格は上がりますが同じブランドのMelGeek Cyber01を候補として考えていいと思います。
機能面も充実
MelGeek MADE68は、アクチュエーションポイントとラピッドトリガー以外でも、その他の機能がソフトウェア上から設定できます。
1つはSnap Tap。2つの反対方向の入力が検出された場合、最後の入力が優先される機能です。例えば、キャラコンで左移動のAキーと、右移動のDキーがほぼ同時に入力されても、立ち止まることはなく、最後に入力された方向に移動します。
もう1つは、4-in-1 DKS。1つのキーストロークに4つのアクションを設定できる機能です。いわゆるDynamic Keystrokes(DKS)を有効にすると、キーが浅く押された時と深く押された時に、別のアクションを割り当てることが出来ます。同様に、キーが上に上がる時も設定可能です。
個人的にはFortniteをやる上では必要ないかと。どちらかというと、作業用キーボードとしての使い道はありそうです。
気になる点は
気になるのは性能というより外観。見た目や質感に強いこだわりがある人は注意したい点もあります。
キーボードの筐体はプラスチック。こういった所が価格を抑えられる要因なのかもしれません。質感の高いアルミ合金に見慣れている人は、やや物足りなさを感じるかもしれません。850gとそこまで重量感もありません。
掲載されている画像を見る限り、個人的にちょっとチープ感というかおもちゃっぽさというかは気になります。
また、キーキャップもPBTではなくABS。一般的にPBTの方が耐久性と耐摩耗性に優れているため、使い込んでいくうちに経年変化が見られるかもしれません。
さらに、需要は少ないかもしれませんが、ワイヤレス接続がマストな人にとっては、必然的に購入の選択肢から外れることになります。MelGeek MADE68は有線接続のため、ラピッドトリガー対応のゲーミングキーボードでワイヤレスを望む場合は、Apex Pro Mini WirelessやKeychron Q1 HEが挙げられます。高性能で無線接続のゲーミングキーボードは、まだまだ数は少ない印象です。
久しぶりにラピッドトリガー対応のゲーミングキーボードを調べてみましたが、MelGeek MADE68はなかなかの代物。他のメーカーを見渡すと、これほどの性能では3、4万円は当たり前。現状2万円ほどで買えるのは利点でしかありません。同じ65%サイズで、国産キーボードのエレコムVK600Aと同価格帯なので、この2つで迷うことになりそうです。問題は十分な流通量が確保されるかどうか。大手ではない海外メーカーの場合、品薄状態になり買いづらいケースをよく見かけます。値上げされず財布に優しい価格が維持されることを願っております。