この夏も愚痴を吐いて地獄期間を凌ぐ。
地獄期間1日目
今年も労働時間13時間の地獄期間が始まった。今年はこの期間が始まる前に必要以上に準備しないことにした。事前準備をしっかりやればやるほど地獄期間が始まる前から憂鬱で地獄だからだ。少しでも楽になるために必死に準備することに疲れてしまうので最低限の準備だけにする。地獄期間は自然にやってくるので気を張らずに過ごす。
初日の今日から現場の責任者が空回っている。こいつが張り切れば張り切るほど、素っ頓狂なことをしだして職場は混乱する。偏差値40の大学を出たうえに60過ぎて聞き分けがなおさら悪くなっている。自分が正しいと信じてやまないポンコツの言うことに耳を貸さずに冷ややかな視線を送ることにしている。バカの言動にも存在にも反応しない。相手にするだけ無駄だ。
地獄期間2日目
何の意味もない朝のミーティングを終えると、現場の責任者から必要な書類を作成するように言ってきた。正確には「この書類あるの?出せ」とぶっきらぼうにほざいてきた。この書類は、私と関係するものの私が作成するものではなく、同僚のもう一人が作成するものだ。提出するのはもう一人の同僚であることは明白だ。ただそのもう一人は経営者の娘であるがゆえに、こういった場合、現場の責任者は決まって私に物申してくる。二人ともごみだ。
100%関わっていないなら指示を無視すればいいが、少しでも関わっているとなると関わらざるを得ない。めんどくさい。
この現場責任者は経営者の娘に直接指示できない。誰かを介して経営者の娘に業務を与える。たとえ経営者の娘が、与えられた業務をやっていなくても何も咎めない。経営者の娘が自分勝手に思いついた業務をやれば、現場の責任者は同僚が集まるミーティングで大げさに褒め称えるのが日常だ。典型的なバカとしか言いようがない。
やる必要のない業務をせっせとやるバカとそれを褒めるバカ。やらなければならない業務が宙に浮いている。今できることは、バカには徹底的に関わらないことだ。バカが死ぬのを待つ。バカが死ぬまでこの職場は良くならない。金さえあればここから抜け出せるのに、ともう10年以上同じことで嘆いている。
地獄期間3日目
昨日は職場での不快さを自宅まで持ち帰ったためか浅い睡眠のまま今日になった。睡眠の失敗は、もはや珍しいことではない。諦めてだるさと一緒に1日過ごす。
沖縄周辺で台風が発生。仕事が休みになってくれないかと頭をよぎるも、暴風にならない程度の勢力らしく、変に期待して気落ちしている。
経営者の娘が今日もぶっ飛んでいる。ミーティングで自らやると宣言した業務を平気でやらず人任せにした。初めてではない。ほったらかして、見かねた他の人間がほぼやり終えるのを見計らい、作業の終わりかけに「あっ気づきませんでしたぁ」とからみにいく。10ある仕事の1もやらない。この他にも担当業務も中途半端にしかできず、現場の責任者がクソほど苛立ちながらフォローするが指導はせず改善も求めない。
この職場での最良の生き方は誰にも近づかないことだ。
地獄期間4日目
現場責任者の空回りが止まらない。13時間職場に拘束される朝っぱらから、ミーティングでこいつは一人で20分しゃべり続けた。昨日起きたことと、自分がそれに対していかに狡猾に対応したか得意げだ。気持ちよさそうに何の意味もないことを意味ありげに長々と話す姿はつくづく頭の弱さを感じる。
厄介そうな客が気掛かりだ。これから問題を起こす気配しか感じない。面倒な対応になる前に先手を打ち続けて背後を見せない。言葉が通じない動物には、言葉の意味を腹に落とそうと躍起になるより、相手との間に緊張感を漂わせて近寄らせない方が、余計に心労せず済む。
地獄期間5日目
土曜日の今日も出社。明らかに疲れている。仕事ばかりで疲れていると、いつまでこんな生活が続くのかしっかり絶望できる。もう40手前のおっさん、この先はもっと時間の経過を早く感じ気づけば老人になっている。
自分の悩みのほとんどはお金があったら解決できると分かっている。お金を稼ぐ手段はどっかに掲載でもしていないものか。自分の頭で考えないで生きてきたツケが回ってきた。自分で何も解決できていない。
地獄期間6日目
地獄期間中の週1回の休み。起きた直後から家事をやって1日が終わるんだろうと既に人生を楽しむことを諦めている。目に見える所に積もった1週間分の埃を拭き取り、洗濯機を3度回して干し、水回りを除菌して、ゴミをまとめて食材の買い出しにでかける。これらの家事をゲームをやりつつ動画を見つつだらだらこなして日が暮れる。この時期の沖縄は8時頃にようやくしっかり暗くなる感じだ。明日からまた1週間地獄が続くと絶望しながら日が暮れて間もなく早めに眠る。
地獄期間7日目
駐車場が狭いため縦列駐車で停めることになっている。朝、車を職場の停めようとしていると、その真後ろにアホの同僚がピッタリとつけてきた。すぐ停めたいのだろう。こちらはバックで停める際に一度前進して向きを調整したいが、この自分のことしか考えないこのアホは待つことができない。バックで停めた車の前にアホ同僚の車が停めてあるため、私は駐車スペースからズレた状態のままで修正できない。この自分のことしか考えないアホ同僚は、帰る時になかなか車を動かさないので私は車を出せない。関わりたくない人種だ。
地獄期間8日目
今日から入社する者がいた。現場の責任者とのコネ入社のため、正式な採用試験は受けていない。危険だ。これまでの経歴を聞くとまともに働く人間ではない可能性が高い。さらに現場の責任者との血縁関係があるため、働き方はだいぶ優遇される。出勤日数も労働時間も極端に少なくなり、それに伴い与えられる仕事量も少なくなる。雑務や事務作業はやらないことが当たり前とされ、こいつがミスをしても指示をした人間が責任を取らされ後始末をする羽目になる。面倒すぎる。現場の責任者はこの新入社員を優遇しまくる未来しか見えない。
地獄期間9日目
今日も睡眠を失敗した。腹の調子が良くないのも原因の1つだ。常に腹に何か詰まっている感覚がずっと続いている。1日何回も排便がある。年に一度の健康診断では毎年痩せすぎと判定される。何か異常が起きているのか、遺伝的にこういう体質なのか、気になるがそんなことよりこの地獄期間がとにかく憂鬱すぎる。
地獄期間10日目
クーラーが寒くて夜中に目が覚めた。1℃上げれば暑く1℃下げれば寒い。睡眠がむずすぎる。眠いまま朝の支度をしていると、顔の吹き出物に手が触れる度に嫌な痛みがする。地獄期間になると顔に吹き出物ができやすく荒れる。目の下のクマ、吹き出物、粉なのか目やになのかがこびりついた疲れ切った顔が鏡に映る。見た目を保つ気力すらない。
1日通して頭痛と吐き気もあって体調はこの地獄期間で最悪。出社して帰るまであと10時間、あと9時間、あと8時間…とずっと死んだ顔でカウントダウンして時間が過ぎるのを待った。体調が悪いと気力も出ない、頭も働かない、何もできない。何もしていないと時間はなかなか進んでくれない。辞めたい。でもこれ以外で稼ぐ自信がない。
地獄期間11日目
連続して6時間寝れたことで少し体調は回復した。多少体調が良くなれば業務中も作業に集中できるので時間が進むのが速く感じる。
ある先輩同僚が顧客に渡すべき資料が置いてあった。私には全く関係のない業務だ。この先輩同僚は今日は休み。顧客に渡しておけということなのか、書き置きや一言あればいいがそれもなくあいまいだ。これが初めてではない。この先輩同僚は自分のことを仕事ができると思っているため、自省せず自分の思い通りに物事が進んでいないと他人のせいにする。心の底から自分が悪くないと思う面倒な奴だ。何か絡んできたら呆れた視線を送ってやろう。
今日も職場にいる間、思考を停止して時間が過ぎるのを待った。
地獄期間12日目
この日もいつも通り上手に寝れずに目が覚める。自分で選んで移住した沖縄の暑さに完全にうんざりしている。約15年前に確かに存在していた意欲とか希望とかは、今となってそんなものは何一つない。人生の貴重な時間を切り売りして、はした金を稼ぎ自分の時間を失うことで健康を手放しメンタルが病んでいる。
出社して事務員女が、私の言ったことに対してヘラヘラ反応してきた。面白おかしくいじっているつもりだろう。入社して数年経ったこの還暦まじかの小太りは、日々猿でもできる単純業務をやった程度で、仕事をそつなくこなしていると意気揚々と生きているように見える。自分が他の同僚にとやかく言っていい資格を持った人間であるかのように堂々としてらっしゃる。仕事に慣れてきた大体の人間は、勝手な自分の基準を作り、その基準から外れたことに違和感を持ち嘲笑する。こいつを見ていると、改めて物事の背景も知らずに自信満々に知ったようなものの言い方をするのだけは避けねばならないと自分に言い聞かせる。
地獄期間13日目
今日は休み。先週の休みと同様家事をして1日が終わる。
昨日、バイトの嘆きが聞こえてきた。シフトが多いだの、あいつが仕事をしないだの、大学生同士の人間関係のいざこざらしく、愚痴を言い合っていた。いかに自分が悪くないことをバイト同士で慰め合っている。この先、きっと愚痴を言い合った者同士は仲間になり、愚痴の対象となった人間とのやり取りにぎこちなさを出すんだろう。こうやってくだらない仲間意識が生まれ、この仲間同士の都合がいい仕事のルールが勝手に決まり、仲間以外に仕事の皺寄せがくる。私に足りないのはこういったことなのかもしれない。ただ、仲間以外にクソ仕事が舞い込むといって、仕事をなすりつけあうゴミ連中には関わりたくない。
地獄期間14日目
地獄期間のゴールが見えてきた。今週乗り切ればいい。ただ死ぬまでこんな職場でくだらない仕事をやり続けると思うとやはりしんどい。
最近ある先輩同僚の言動がどうしようもない。ミーティングでやると宣言した業務をやっていない。確信犯だ。現場の責任者が業務をやっているかチェックしないことをいいことに、やったことにしている。言い逃れできる余地を残しながら曖昧な報告を繰り返している。一見するとサボって給与を受けとる輩だが、全体でやると決めた不必要な業務であれば、何となくやっている感じを出してやらないことも得策なのかもしれない。現場の責任者が強く指示したことを、いい感じにやってる感を出して、月日を流れさせ、業務の遂行をうやむやにする。そもそもやる必要のないことであればのちに発覚しても大問題にはならない。ここを判断すればもっと楽に仕事ができるはず。
地獄期間15日目
昨夜23時すぎに就寝しようとした。クーラーの効きが悪く室内の暑さと腹の調子が気になって眠れない。クーラーの温度を調整しては目をつむり、トイレに数回いっては目をつむったが寝られない。浅い眠りの中で次は寒くて目が覚める。断続的に目が覚めながらトータル4時間ほどの睡眠時間。朝、体を起こし身支度をしながら、今日体調が悪くなって絶望するんだろうと朝から1日を諦めた。
出社すると顧客とのトラブルに私が関係していることが判明した。というかだる絡みされている。クソほど面倒だ。知能レベルの低い顧客が、気に入らないことの原因の1つに私が業務をしていないとほざいている。このゴミ客担当の同僚が対応しているが、このゴミ客に迎合して私を悪者にして決着させようとする可能性が高い。厄介だ。今後このゴミ客には絶対に距離を置き、付け入る隙を見せない必要が出てきた。めんどくさ過ぎる。今後もだる絡みされる可能性はあるが、感情的に対応せず仲間をつけてひとりで行動しないようにせねば。本当にこの仕事はやりたくない。
地獄期間16日目
またしても23時過ぎに寝ようとするも失敗した。数時間、目を閉じてじっとしていたが眠りに落ちなかった。職場でそこまでメンタルにこたえることはなかったし、不快な室温でもなかったが寝られない。このまま朝になることが頭をよぎる。嫌気がさせばますます眠れない。とにかく熟睡したい。
出社してから仕事が一段落するごとに人目をはばからず目を閉じている。20代の頃は同僚の視線を気にしてこんなことはしなかったし、業務中に寝ている奴を軽蔑していた。人それぞれどうしようもない事情があって体調を崩すことはある。体調を崩したり体力が衰えたりすると人に寛容になってくる。世間が居眠りする国会議員を批判しているが私は何も物申せない。寝不足で業務中であっても目を開けた状態で思考停止している。虚し過ぎる人生を送っている。
地獄期間17日目
経営者の娘が顧客から回収した書類を私の近くに放置していた。この顧客の担当者が苛立つのが目に見えている。その矛先を関係のない私に向けようとする魂胆だ。経営者の娘は、回収した書類を担当者に渡しに行きたくないため、私の近くに放置することで、私が書類を渡していないことにしようとしている。顧客から愛想良く書類を受け取り、平気な顔で書類をぶん投げるゴミくずには関わらず近づいたら軽蔑するのみ。
地獄期間18日目
まもなくこの地獄期間が終わる。この職場で目にするのは愚行だらけ、耳にするのは愚痴ばかり。他人のダメな所だけが気になり、自分ひとりでストレスを抱えて呆れ返っている。何でもいい、腐らず夢中になれることに没頭することでここから抜け出せるはず。
現場の責任者のいない今日、いつものように先輩同僚が遅れてきた。責任者が出社しない日は、毎回ではないものの、他人にとやかく言われない程度に遅れてくると決めているらしい。こいつの薄汚い性根にはうんざりする。こいつは複数人が関わる業務の段取りを直前でやるため、他の人間は割り振られた役割を期限寸前でやらざるを得なくなっている。おまけに、直前に決まった段取り通りことが進まないと他人のせいにする。トラブルがあれば他人が悪いと愚痴を吐いていらっしゃる。言い訳をほざき出したら死んだ目でこいつを眺めるようにしている。
地獄期間19日目
地獄期間最終日。連日の13時間労働が今日で終わるとあって気持ちが楽だ。地獄を乗り切った達成感すらある。これが良くない。これなら来年も頑張れると錯覚して結局退職せずこの職場に居座っている。直ちに辞めるための行動を始めて、その行動を続けなければ、この地獄を抜け出すことはない。一生身を削り心を殺しクソみたいな生活が続くのだ。変えたい。とやはり地獄期間が終わることでどこかポジティブになっている。来年こそこんな生活は送りたくない。そう思うだけでどうせ何も変えられない。既に諦めている。